さて、ここでちょっと余談をはさむ。

 自分でもあまり皆から良く思われていないと認めているスサノオだが、それはスサノオの周りの、いわゆるしきたりにこだわる上流階級の者達だけで、意外と下級庶民達には受けがいい。

 それはしきたりにこだわらず、逆に壊してしまうおおらかさと革新性を持ち、上にへつらわず、下を軽蔑せず、自ら庶民に溶け込んでいく自由人として、また、確かに一部特権階級が政治を独占しているこの階級世界を徹底的に破壊し、平等な社会へと導いてくれる救世主として、そしてまた、ただ単に、スサノオの悪戯によって、いつもは着飾ったり、上品に振舞っている、いわゆる「お偉いさん」達を、怒らせたり、驚かせたり、困らせたり、時には泣かせてしまったりして、オリヒメたち庶民を楽しませるエンターティナーとして、スサノオは認められ、慕われているのだ。

 上の神々にとっては、(はなは)だ迷惑なことだが・・・。

 ところで、なぜこのように上流と一般の差が出来てしまったのだろうか。

 それはつまり神々の階級は、その神の血統や伝統、歴史によって決められるからである。

 一般に古くからいる神々か、その血筋の者が上流に属し、その歴史が古ければ古いほど、高天原で高い地位に就けるのである。

 つまりイザナギが今、高天原で最高の地位に就いていられるのは、古くからいた神代七代の最後の一人だからであり、スサノオみたいな奴が高位に就くことができるのは、そのイザナギの血を引くものだからである。

 ではオリヒメを含む、他の一般の神々は誰の血を引いているのだろうか。

 スサノオは神代七代の一人、イザナギの息子として生まれたのだからわかるが、八百万ともいわれる神々の全てが、別天津神五柱や神代七代の子供というのは考えられないし、それであれば全てがブルジョワになってしまう。

 ではどうやって神は生まれるのであろうか。

 神々の誕生には、概して二つの生まれ方がある。ひとつは我々人間のように母親から生まれる神。これはスサノオやヒルメたちが当てはまる。だから彼等は姉弟なのである。このケースは上流階級の神々が多い。

 もう一つは神様らしく、超自然的に発生してくる場合である。例えば剣からは剣の神が、酒からは酒の神が発生してくるのであり、オリヒメもまた、衣服から発生した衣服の女神なのである。そして現在の高天原の神々のほとんどが、この発生した神々で占められているのである。

 しかし、これらの発生した神々が高貴な地位につくことはごく希だ。

 なぜなら、生まれてくる神がまだまだ圧倒的に少ないからである。だから大切にされているのであるが、とはいっても別天津神五柱や、神代七代も出現した神々に変わりは無い。出現したのが他の神々よりほんの少しだけ早かっただけなのだから。

 それでも、別天津神は無から出現した(他の出現した神々は、必ず何かのモノから出現している)のだし、この世界全体・・・いや、この次元を(つく)った神々なのだから、尊ばれて当然であろう。

 神代七代にしても、偉業の程は前者に譲るが、国津神の住む豊葦原(とよあしはら)中国(なかつくに)と、死者の住む黄泉(よみ)の国を創ったのだから、彼等も尊敬されて(しか)りである。

 ただ、その子供だからといって、その子が有能であるかどうかは・・・甚だ疑問なのであるが・・・。

 さて、話をもとに戻そう。

 

 

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