「こんにちは。」

「愉快愉快。」

「しかし、あの艦長さんには悪いことをしました。」

「何だあの小娘は」

「いやがらせですよ。ファーレン軍の。子供の使いだと思えば。」

「使いはさっさと返すに限る。」

「艦長が可哀想じゃないですか。」

「せっかく艦長がまぬけを演じてるんだ。その間に、やることはやっとかないとな。」

 

「なめられたものです。親睦パーティをやりたいらしい。」

「待っていたよ。ミューズ・メタル。」

「お話は下で聞きましたけど・・・パーティですか?」

「アイロス・シュナイダーがセラ・エンジェルMKIIのパイロットに会ってみたいと言って来た。」

「アイロス・・・。」

「親睦の為のダンスパーティだ。手荒なことはされない。」

「ダンスなんて無理ですよ。」

「これはレイフィールドのパイロットとして、命令している。」

「服だってないし・・・。」

「そういう心配は無用だ。その為にミリーエント嬢をつける。ミリーエント嬢、頼みます。」

「はい。ヒューズ、こちらへ。」

「はい。」

「凄い衣装ですね・・・。」

「そうね外から来るお客さんの為とかね・・・。ミューズ嬢のためですって。」

「ミューズ・・・ですか。」

「任務の為よ。」

「ミカエル様はね・・・こっちにもフィネンス軍に対抗できる兵器があってね、それを女でも運転してるって見せたいのよ。でも、なぜ断らなかったの?嫌なんでしょう?」

「バランスを取らなければ、イーラが一方的に負けてしまうようなことになるんでしょう?」

「たぶんね。」

「じゃあ、やりますよ。」

「なら、パーティの日まで、レディとしての立ち振る舞いのレッスンをしましょ。」

「えっ・・・レッスンですか?」

 

「へっぴり腰はダメと言ったでしょう。」

「うそでしょ・・・。」

「コルセットは、腰を細く見せるものなんだから!」

「はいはいはい、そこで回って。はーい、そんなに動き回らなくったって、相手が動いてくれまーす。はい、もう一度まわる。パートナーには優しく。」

「そんなこといったって・・・。」

「レディはお相手に文句はいわなーい。はいいちにさーん。にーにっさん。」

 

「やあ、ミカエル殿。そちらのご婦人が、セラのミストのパイロットなのですか?」

「はい。ミューズと申します。イーラではこのような乙女でも、機械人形を操るのです。」

「初めまして・・・。」

「ご挨拶は後ほどゆっくりと。」

「はい。」

 

「アイロスが見えない・・・。」

「ミューズ、口を閉じなさい。」

「でも僕・・・。」

「私。」

「・・・私、パーティなんて初めてだから・・・。」

「折角の親睦の為のパーティなんだから。」

「どなたか一曲、私と踊っていただけませんか。」

「えっ・・・私が踊るんですか!?」

「練習の成果を披露しなくてどうするの!」

 

「こんばんは・・・。」

「おや、あなたは・・・。」

「先ほどは失礼しました・・・。」

「お手をどうぞ、ミューズ姫。」

「よ、よろしくお願いします・・・。」

 

「ミューズさん、君はあのミストをどこで手に入れたのかね?」

「あれは・・・偶然・・・。」

「それでは、ファーレンがミストを揃えるのは、気の遠くなるような話ですね。」

「どうでしょうか?ファーレンではセラ・クラスのミストが量産されていると聞きます。」

「あなた方の武力が勝っているとお思いでしたら、危険なのではないでしょうか?」

「その話が本当ならばな。」

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